ひとつ、ふたつ…九つまでは、スズキメソードでは『つのつく時代』と言い、
言い方違えど、世界の共通認識としても、この年齢まで育てる『育て方』は
子どもの教育を考える上で、とても大切にしなくてはならない時代です。
最近では学校でも、二十歳の二分の一ということで、
小学4年生の行事に『二分の一成人式』として加えられている学校もある程です。

そして、その時代を超えると、段々難しい時期に入ります。
いわゆる思春期の入り口です。
もう子どもじゃない!ちょっとカッコつけて冒険してみたくなる。
大人の嫌な所が目につくようになり、反抗してみたくなる。
友だち同士でツルミたくなる。などなど。

自分は何のためにこの楽器の練習をしなくてはいけないのか?
もう辞めたいな…練習したくない、
今やろうと思ったけど練習しろと言われたからしたくない、
友だちと一緒にいたい、あの子と同じ事したい…いろいろ。
高校生になると、アルバイトもしたくなる年頃です。

目覚め始めたこの時期のお子さん方にとって、
バイオリンと向き合うのは、上手に整理できる事ではないでしょう。
既に進路を決めているお子さんは頑張れるかもしれませんが、そうでないお子さん。

親としても当然悩む時期です。
もう諦めるか、いや、今までやってきた事を簡単に辞めさせられない…

そこで、親子口論になるケースは多々あることです。

このような思春期にどう楽器と向き合わせるかー

親、先生に言われる事はやりたくない。しかし!

近い将来、大人になって嫌な仕事でもやらなければならない事がある。
やりたくない事はやらなくていいのか?!

仕事として任せられる事はたとえ嫌な事でも、どうにか工夫して効率良く、
自分の最大の力を発揮することが出来るのか、
それを学ぶためにも、今こそ『そのときのお稽古』を親子で考える時期なのだと思います。

お父様お母様の出番です。
どうぞ、バイオリンをどんどん引合いに出し、親子討論に活用してください。

時間が少ない、限られた中で、本人のやりたい事、それからやりたくない事も
如何に両立させ、どう取り組んだら自分の力を双方に発揮することができるのか、
思春期の彼らが試行錯誤で答を見つけるのを、大人として誘導し、見守っていただきたい。

バイオリンを単なるお稽古事、と捉えないで、幼少期から、児童、思春期、そして
シルバーになってからも充分に追求でき、と同時に楽しめる音楽の世界です。
一生続けられる、一生深められる素晴らしい高級品です。

思春期の子育てなんて…ではなく、
親である限り、『子育て』とは永遠の課題です。
スズキメソードとは、一生を通じ、親子で答を探し続けるもの。

新年度は、気持ち新たに親も子もお互いに、明るく迎えたいものですね。

さとうめぐみ