音を合わせる

アンサンブルをする、というのは、自己主張を抑えめに、他人と協調しながら
ひとつの作品を作り上げるもの。
二重奏、というのは、自己主張しつつ、他人も尊重し、共にひとつの音を奏でながらハーモニーを作っていくもの。

私は長年このように捉えクラスの発表会では、どんなに初歩の生徒さんでも、必ず課題にしています。

自分の演奏を完璧に近い状態においてこそ、他と気持ちを合わせて楽器を奏で、
共に作品を仕上げるという事ができます。

個人のミスは相手に迷惑をかける事になりますし、自分に余裕が無ければ、
他の音を聴きとって、ハーモニーを合わせていく作業は難しいです。
どんなに易しい曲でも、決して侮れないのが重奏です。
協奏する相手が同じ楽器であれば尚、合奏するための個人練習をしっかり準備しておく必要があります。

猿マネと受け取られがちの『斉奏』-
実はこれ、とても難しいことなのです。

以前、某クラスの究極の斉奏を聴いたとき、それまで少し感じていた邪念は消えました。個々に極めた音楽性に満ちた演奏が集結し、音がぴたりとひとつに重なり一体間の集結した素晴らしい音のステージに 感動し全身震えが起こりました。

ひとつの同じ音譜を、他人とタイミングを合わせ正しい音程で弾くのは、個人が変な音を出せば、すぐにわかってしまうので、個人練習より、更なる集中力を育てます。

大人の意識と全く違う、鋭い感覚をもつ子ども時代は、このように難しい作業をも、楽しみながら学んでいける力を持っています。

人を育てる、というSUZUKIの精神の真髄は、社会の中でどう生きるか、他人と奏する斉奏のお稽古からスタートします。

今月14日に行うささやかなクラスのおさらい会で、
子ども達はどんな共演を魅せてくれるでしょうか…

さとうめぐみ